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[コメント] クレーヴの奥方(1999/仏=スペイン=ポルトガル)

この映像の完璧さはいったいなに? 腰の座り方というのか、落ち着き方というのか。ことあるごとに映像が思い出されてならない。
なつめ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







愛の言葉を結局一度も交わしていないのに、お互い愛を感じて追いつ追われつになる二人。アブルニョーザは恋愛の対象としてカトリーヌを見つめ、カトリーヌはアブルニョーザを愛しつつ彼から逃げた。が、カトリーヌが逃げていたのはアブルニョーザその人からではない。つまり、自分の中の良心・罪の意識と戦う彼女にとって愛するペドロ・アブルニョーザの存在は具現化された悪魔のようなものに思えたのではないか。

それにしても、一番不幸なのは、妻の他人への恋心を打ち明けられたカトリーヌの夫である。キリスト教的厳格さを備えた彼女にとって、夫への告白は「懺悔」のようなもの? 神父に懺悔をしても秘密は守られるし自分は楽になるけれど、夫は神父ではない。

ロックとクラシックというシンプルな対比があらわすカトリーヌとアブルニョーザの世界の違いはわかりやすい。愛情のある/なしの言動を対比させるには、(不必要に思えた)フランソワも必要な存在だったのかも。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)Keita[*]

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