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[コメント] シザーハンズ(1990/米)

この映画,隠れた主役はペグだ!(と思う・・・)
ymtk

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 下記の文はリアルタイムな感想文のようなものです。

 まずはじめに言いたいこと。おかあちゃんのペグが最高にチャーミング。いい人。この映画で一番輝いているのは,実はペグなのではないか。自分はマジでペグの人柄に感動してしまった。どこにでもいるであろう小市民。でも,人を愛する心,思いやる心,相手の気持ちを慰めようとする配慮は,他の家の魑魅魍魎ども(笑)など比べものにならないくらい清く,あたたかい。こんな女性に巡りあえたら,しあわせなのだろうなあ。しみじみ思う。

 この映画に出てくるペグ以外の人間は,みんなあくまで自分本位(と,自分には見える)。自分の想いでエドワードに語りかける。そんな中で,義足をつけた老人が,「人に自分を身障者とよばせるなよ」,と語りかけるシーンがある。いい話や。泣いてしまいそうだった。でも,この老人には,後で別の意味で泣かされそうになる。

 映画の転換点,ケビンの家へ忍び込んだ後の話。おとうちゃんは善悪の区別を付けさせようと,エドワードに質問をする。異形のものに,正しい価値と正しい姿を持つものが正しさを伝授しようとする。こんな場面をみて,自分は思わず『エレファントマン』を思い出してしまった。

 エドワードが町の鼻つまみものにされてしまった後で,ペグは言う。「やっぱり連れてくるべきではなかったのかも」。

 そんなことないよ,ペグ。君は最大限がんばったじゃないか。周囲の皆とうまくやっていこうと,がんばったではないか。それをぶちこわしたのは誰なんだ。色ぼけ宗教ぼけのオババどもだし,脳天気なイカレ若者達じゃないか。結局一番の理解者は,ペグ,君だったじゃないか。

 若者が若者と結ばれるのがよいことで,配偶者を持つ者が別の者と結ばれてはまずいっていうコードがあるのかもしれないけど,自分はあえて言っておく。本当は,ペグとエドワードが幸せにむすばれるべきだったのだ。

 ところで,かなしい。義足をつけていたあのじいさんは,今じゃエドワードが逮捕されるのを待っている。人の心なんてほんといいかげんだ。

 エドワードを追いつめる者たち。こいつらみんなバカだ。バカすぎる。しょうがねえじゃねえか。シザーハンズなんだぞ。ハサミが手なんだぞ。そんな相手と格闘したらどうなんるかなんて,考えたら分かるじゃないか。それをろくに考えもせずに飛びかかり,けがをすればエドワードのせいにして。なんて傲慢なんだ!

 わかってるのはペグだけだと思ったら,おまわりさんもわかってるじゃないか。そのおまわりさんは黒人だった。黒人が,追いつめられた逸脱者をあえて逃がす。くさいけど,感動してしまう。

 で,ケビンってのは,アメリカ的価値の体現ではないのか。いいのか悪いのかは関係ない。自分の生活が脅かされるかどうかだけが唯一の関心事。自分の生活を脅かすものは徹底的にぶちのめす。うーむアメリカ。

(評価:★5)

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