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[コメント] フィアレス(1993/米)

ピーター・ウィアーの最高作。映像職人的な資質と、圧倒的な状況下での個人の魂の救済という作家的テーマを持った監督だと思うが、素晴らしい原作/脚本を得たこの作品では、その両者が偏りもせず乖離もすることもなく見事な調和を見せていると思う。
ぐるぐる

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ピーター・ウィアー作品での主演級の演技はいつも素晴らしいが、このジェフ・ブリッジズは中でも最上級の出来だと思う。音楽もいつも良いが、グレツキの交響曲を使ったラストは特に忘れがたい。

主人公は冒頭の事故現場から日常生活の場であった家にはすぐには戻らず、20年間も会っていなかった旧友を突然訪ねる。このエピソードの持つ重要な意味が、映画の中ではその後のカーラ(ロージー・ペレス)の救済と妻ローラ(イザベラ・ロッセリーニ)との齟齬、という物語の流れの裏に埋没してしまっているので、余程注意深く観ていないと単純に心理的外傷からの回復の物語と読んでしまう危険がある。この分かり難さはある程度までは意図的なものなのかもしれないが、もう少し観客に親切にしても良い気はする。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ジャイアント白田[*]

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