スタローンは相変わらずだな。単純だけど、それだけに直情で、なんでも筋肉で解決してしまう。精神病院が舞台と言うことで、深みを持たせようとしたのかも知れないけど、残念ながら筋肉質の奴らばかり選んで登場させたため、ドラマがたるみっぱなし。ギレズビーが監督することで、『ラストサマー』(1997)を思わせるサイコ・スリラーにしたはずが、物語自体が浅いだけの物語となってしまった。

　それに、療養施設とか言いながら、あれって監獄とどこが違うんだ？あんな病院じゃ余計症状が悪くなるだけだぞ。何となく、壁に背をあずけてぶつぶつ意味のないことを呟く奴とか、大笑いしながら外に向かって走っていく奴がいるんじゃないだろうか…とか思ってしまった。

　演出そのものはさほど悪い訳じゃなく、ラストも結構息詰まる展開にはなってるんだが、どうしてもご都合主義っぽい終わり方になってしまったし…スタローンが主役張るとどうしてもこんなになってしまうんだろうか？

　ラジー賞の常連であるスタローンが珍しく本作では何もノミネートされてないと思ったら、ビデオスルーだったからか。