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[コメント] 空飛ぶゆうれい船(1969/日)

鬱陶しいほどのボアジュース宣伝が…これは驚き。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 前年『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968)を作り上げた東映だったが、興行的には大失敗に終わってしまい、今度は石ノ森(石森)章太郎の短編漫画をベースに短期制作・低予算で作り上げたのが本作。

 …とは言え、本作の質が低いとか言う訳では決してない。怪奇風、SF、コメディ、そして推理小説風に物語は展開していき、ちゃんと最後はアクションで決めるという、まさしくエンターテインメントそのものの作品で、ストレートな意味でとても楽しめる作品に仕上がっている。

 強いて言えば、主人公の隼人少年が突然ボアジュースの中毒で苦しむとか、最後の特攻シーンでかなりの人死にが出るとか、こども向きにしてはかなり厳しい展開があったりするので、ちょっと大人向けっぽくもあるけど。

 この作品で面白いのは、物語は比較的複雑に出来ているのに、観ている間は非常にすっきりした気分で観られてしまうこと。これを可能にしているのは、劇中しつこいほど流れてくるボアジュースのCMの存在なんだろう。正直鬱陶しいのだが、劇中、このCMの意味が明らかになり、実はこの作品の中心であることを知ることで、主題が明確になっていくから。

 しつこいほどに原点に帰ることで主題がはっきりする。これはモンタージュ技法の一つの明確な答えでもある。

 尚、ゴーレム登場シーンは宮崎駿が担当しているので、流石の迫力ではある。これって『風の谷のナウシカ』(1984)で庵野秀明が巨神兵の作画をやって有名になったことを彷彿とさせる。時代は巡っていくもんだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ペンクロフ[*] サイモン64

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