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[コメント] けんか空手 極真無頼拳(1975/日)

あふれ出る70年代汁!
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 大山倍達の半生を描いた『けんか空手 極真拳』の続編で、前作のヒットを受け、急遽作られた続編。一作目も大概ではあったが、続編となるともうやりたい放題。ここに描かれる大山倍達はほとんどアニメの主人公のような強さで、ファンタジーの領域。

 そもそも大山倍達は牛と戦って勝ったという実話があって(その映像は『猛牛と戦う空手』(1954)ともなっている)、それを拡大解釈して、熊とも戦わせてみたら面白かろうということで作られたような部分がある。

 だから全般的に観ても、熊と戦うというクライマックスシーンに向け、後はなんとなく細かいエピソードを付け加えただけって感じで、非常に散漫な物語が展開。前作のラストであれだけの立ち回りをやらかしてるのに、それは不問にさせられ、ちょっとした脅迫とかで警察に追われるようになるのも、変な話。全般的にもの凄くちぐはぐな展開となる。  更にクライマックスの熊との対決シーンとなると、もうなんというか、「これはなんの冗談だ?」というレベル。基本吠える熊のアップと虚空に向かって正拳突きを繰り返す千葉真一。そして飛び散る赤い墨汁。特撮というレベルすら相当に下回るこの演出に、なんとも言えない気分にさせられる。

 とは言え、これが悪いのか?と言うと決してそんな事は決してない。作品全体がネタの宝庫なので、ゲラゲラ笑いながら画面にツッコミ入れまくれるし、一作目以上に表情豊かな千葉真一の濃い顔の百面相がなんとも時代性を感じさせて良い。何よりあふれ出る70年代臭!ひたすら映画作りの熱さを感じられるって意味では本作は本当にいい具合の作品である。映画観ててこれだけ感情揺り動かされるなんてのはそうそうあるものではないので、非常に貴重な邦画の一本には違いない。

 これを観た後、きっと思う「とんでもないもん観っちまった」と。

(評価:★3)

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