[コメント] 午後の遺言状(1995/日)
平均年齢がとんでもなく高いキャストを用い、新藤監督が描く日常の光景。こう言った作品はかなり好き。淡々とした日常と、そこに加わる非日常性。それをヴェテランが演じる事で、味わい深い作品となっている。
ただ、これを観ていたら、変な気持ちになってきた。昔のことを思い出した。
こんな所で書くのは少々気も引けるが、大学時代、私の同級生には変なのが多かった。ゼミの教授と後で会った時、しみじみと「お前らの年代の奴らは本当に妙なのが揃っていた」と言われてしまったほど。
一晩中学校の校庭で穴を掘っていた奴。丸一日以上金も持たずにひたすら歩き回り、後で隣の県から「迎えに来て」と言ってきた奴。土砂降りの雨の中、自転車で走り回り、奇声を上げる奴。そして学校の木の枝を用い、「死」を選んだ奴(シャレにならないけど実話だ)。私もその一人だったりするが…
自分とは何か?と言う問いつめ方は人それぞれだが、皆、それに悩んでいたのだろう。
その中で最もシャレにならない奴がいた。私の知り合いというわけではないけど、同じ授業も受けていたはず。彼はバットを持ち、片手には包丁を括り付けて下宿の前でゲートボールをしていた人たちを襲った…全国版のニュースにもなった凄惨な事件だった。
…まさかあの事件を題材にしたんじゃなかろうな。
ここではかなりコミカルに描かれているとは言え、フラッシュバックが起こった。同時に一番嫌だった自分自身の事まで思いだしてしまった。
人とは全く違うところだろうけど、私にとってはとてつもなく“痛い”映画になってしまい、それ以降のストーリーが乗り切れなかった。いや、乗りすぎたため、酔ったのかも知れない。
こんなコメント書いて良かったんだろうか?
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