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[コメント] 明治天皇と日露大戦争(1957/日)

これを観られるようになるまでが長かったけど、出来は「普通」かな?放映時期に生きていたら違った感触もあるんだろうけど。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 本作は機会あったら観てみたいと思っていたのだが、2010年代になって、数多くの戦争物が普通にソフト化されるようになり、テレビ放映もされるようになって、ようやく観る事が出来るようになった。

 さてその出来ではあるが、申し訳ないけど「普通」。もっと悪く言えば、しょぼい。特に特撮的な部分では、他の戦争物と較べてもどうしても弱い。

 これはエポックメイキングな作品の常だ。道を切り拓いた作品は、当時の空気を知ることなしに理解できないし、その後にこの作品を踏み台にして作られたもっと演出力の高い作品の方を先に観てしまっている以上、演出の弱さしか観ることができないものだ。

 ただ本作単体で面白い部分はある。

 日露戦争という大きな事態を前にして現場や政治ではなく、天皇の決断という点に重点を置いたことだろう。勿論画面の見栄えや盛り上げのために戦争のシーンはあるし、会議のシーンとかもかなりあるにせよ、あくまで主人公として天皇がどう決断したかを中心に持っていった。そのため、他の作品とは違った部分に見所があって、それが作品の個性になってたから。現代からすれば、その個性を楽しめるかどうかが本作の評価の分かれ目と言う事になろうか。

 尚、本作で明治天皇を演じた嵐寛寿郎は、この役を演じることに非常に慎重だったそうだ。戦前の人だから、こんな役は不敬罪と思ってるだろうし、そんな恐れ多いことを役者がやったということで、暗殺の可能性だってあったわけだから。しかもこの成功に味を占めた新東宝は次々と天皇役をアラカンに振り、そのため他の役が来なくなってしまったとか…

(評価:★3)

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