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[コメント] オーシャンズ12(2004/米=豪)

内容はともかく、これだけのキャストを破格値で雇えるクルーニー&ソダーバーグの実力はよく分かりました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 かつてシナトラファミリーのオールキャストで作られた『オーシャンと十一人の仲間』(1960)をリメイクした前作『オーシャンズ11』(2001)はリメイク作は駄目だと言うジンクスを見事に打ち破っての大ヒット。それに気を良くしたか、ソダーバーグ&クルーニーがリメイクの続編に挑んだ作品。この二人は余程ハリウッドでも信用があるのか、これだけのキャストを集めて製作費は破格値の8500万ドル(日本にいるとめまいがしそうな金額だが、昨今ハリウッド大作ともなると1億ドルをこすのが当たり前だし、なんせこのキャストだ。破格値と言って過言ではなかろう)。11人の出演費を徹底的に抑えた結果だ。

 それで本作だが、製作費は前作と変わらず8500万ドルとなっている。これを知った時は結構驚いた。しかも前作で登場した時より遙かにビッグ・ネームとなっているデイモンのみならず、オスカー女優のゼタ・ジョーンズ、カメオとはいえブルース=ウィリスやアルバート=フィニーまで出して、この金額に収めてしまうとは。クルーニー&ソダーバーグがどれほど影響力を持ってるかと思わせられる(ヨーロッパロケは金を抑えるためだろうという気もするけど)。

 それで出来だが…良くも悪くもソダーバーグらしい作品。この人が娯楽に徹した作品を作ろうとすると、どうしても脚本の練りが足りないんじゃないか?と思わせられるのばかり。もうちょっとで面白くなるのに、ギリギリのところでパターン風にしないのが監督の味だ。それがソダーバーグ流のスタイリッシュさとなって時折大変面白くなるんだけど、物足りないまま。と言うパターンも大変多い。私にとって、本作は後者にあたる。もうちょっと物語を練って欲しかった。何せ前作と較べても遙かに話が結構ややこしい上に、それを丁寧に演出してないのが致命的。二重三重のトリックがわかりにくいだけになってしまい、オチも爽快感に欠ける。

 キャラについて言えば、物語の中心は前作に続いてクルーニー、ピット、ロバーツの三人のはずじゃないかと思うのだけど、なんか三人とも妙におとなしいというか、存在感が今ひとつ。むしろ脇を固めるデイモンとかゼタ・ジョーンズ、カッセルとかが上手く、割と少なめの出番を綺麗にまとめてくれてる。意外にヨーロッパ向きのキャスティングだったのかも。

 ロバーツ演じるテスがロバーツの物まねをするなんてギャグ的要素もあり、結構笑えはするんだけど、肝心な物語にあんまり関わってないのが残念。

(評価:★3)

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