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[コメント] キング・ボクサー 大逆転(1972/香港)

ブルース・リーのヒットが無ければ、アメリカではこの方面で拳法映画は進化したのかも知れない。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 アメリカにおいてカンフーブームはブルース・リーによってもたらされた。その最大のヒットとなった『燃えよドラゴン』(1973)のほんの少し前に公開された作品で、『燃えよドラゴン』が公開されていなければ、本作こそがアメリカでの最大ヒット作になっていただろうと言われている作品。タランティーノ監督は本作の大ファンだそうで、『キル・ビル』でも劇中曲が使われているほど(正確に言うと、「鬼警部アイアンサンド」のオープニングソングを本作で使用しているため、孫引きになるのだが)。

 作品そのものは典型的な功夫もので、地道な訓練風景、強すぎる主人公に対して精神的に揺さぶりをかける悪人や、師匠と弟子との絆などをそれなりに上手くあしらっていいるが、その辺のストーリー運びはテンポ良くて飽きさせることなく見せてくれるし、善悪のはっきりした物語なのでとても安心できる(何箇所か残酷シーンがあるので、その点はご注意を)。卑劣漢として日本人描写がちょっと引くけど、これも当時の香港映画では致し方ないところなのかもしれん。

 本作の最大の売りは必殺技の派手さである。無茶苦茶とは言わんが、ここぞという所でワイヤーアクションを用いた必殺技を、雄叫びを上げながら放つシーンはまさにアニメ的必殺技を彷彿とさせ、「すげえ!」と思わせてくれるには充分。

 ブルース・リーのリアルな拳法とは又違った魅力が本作にはあり、香港映画を語る上では必須の作品とも言えるだろう。

 今川泰宏監督のテレビアニメ「機動武闘伝Gガンダム」を観ていたら、本作をなんだか思い出してしまった。おそらく本作も元ネタの一つなんだろうな。

(評価:★3)

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