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[コメント] お茶漬の味(1952/日)

小津監督は特に食事にこだわった作品が多いが、ここでは特に最も庶民的且つ懐かしい食べ物としてお茶漬けを題に取ったのは大成功。なんだかんだ言ってもこれこそが日本の原点とも言えるんですから。舌で感じる日本って奴です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 小津監督作品として一番有名なのは『東京物語』(1953)だろうが、本作も完成度としては決して負けていない。実際、海外の人に日本的な映画を問われたら、多分私はこの二本をセットにして紹介するだろう。事実1952年日本興行成績では2位であり、小津作品の中では公開当時最も売れた作品であることは間違いなし。

 それは本作の完成度が高いと言うだけでなく、実は小津作品の中では最もモノローグが多く、言葉で説明する部分が多いため、大変分かりやすい作品なのだ。日常の細やかな仕草を演技で表すことに小津作品は定評があるが、事細かに説明してくれる本作を最初に観ることをお薦めしたい(どっちかというと成瀬巳喜男作品っぽくもあるけど)。

 小津作品は決して難解ではない。ただ流れる映像に浸っていれば、それで心地よくなれる作品が多い(ついでに言うと、時としてそれは瞼にも及ぶ事あり)。そう言う観方が出来る作品なのだが、本作の場合は、むしろ説明的なモノローグに導かれ、そのまま画面にぐいぐいと引っ張っていってくれる力強さがある。

(評価:★4)

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