[コメント] ワールド・トレード・センター(2006/米)
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常に挑戦的な映画作りで知られるストーン監督の最新作。ストーン監督作品は相性が悪いのだが、何故か劇場にかかると観に行ってしまう。不思議な監督だ。
実はその挑戦ぶりがどれほどか?と言う期待もあった。その時点で一方的な被害に遭った立場のアメリカを、彼がどのような解釈で映してくれるのか?
…ある意味、期待は大きく裏切られることになったが、それ以上に、改めて、ストーン監督は演出面にかけては上手い監督であることを再認識させられた。確かにこれまでのような心をえぐるかのような鋭い演出はなりを潜めているが、ディザスター映画として見るのならば、本作はかなり上手く作られた作品だ。
ディザスター映画は普通救出される側と救出する側の二面で形作られるものだが、本作においてはほとんど救出する側が描かれていない。ひたすら救出を待つ側と、その家族のみに焦点を絞って演出されている。
主人公達は動けないのだから、当然声の演技が話のメインになるので、下手な監督が作っていたら、ただ退屈な内容になっていただろうが、ストーン監督はそれを見事に撮ってくれた。実際に起こった事をきちんと調査して行っているので、リアリティも強い。それだけに最後の救出劇は本当にほっとさせられる。
映画単体としてはかなり上手い作品と言えるだろう。
ただ、結局は災害に巻き込まれてしまった一市民が、ただ待つだけ。と言う内容をわざわざストーン監督が選んだ理由がよく掴めない。この人はもうちょっととんがったものを作る人じゃなかったか?しかも登場は僅かとはいえ、神がかった保守的な人間をヒーローのように扱う撮り方もらしくないよなあ。妙に保守的傾向が強いように思うのだが?
ストーン監督だったら、強引に陰謀説でっち上げて、軽くでもその演出を入れて欲しかった。
ストーン監督“らしい”ものを撮ると文句を言い、“らしくない”ものを撮ると文句を言う私はやっぱり嫌な奴だな。
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