[コメント] アンタッチャブル(1987/米)
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元々テレビシリーズだったのをリメイク。2時間半の映画にまとめた作品だったが、その監督がデ・パルマと聞いて、楽しみにしていた。彼は好きな監督だけど、私にとってはむしろホラーとかサスペンス作家としてだったし。あの監督が一対どんな映像を魅せてくれるのか、ストーリーそっちのけでそっちばかり考えてしまった。
だけど、実際の作品を観てびびった。なんだ?デ・パルマ監督ってこんな見事な作品、作れるのか?(大変失礼ながら)
本当にこれ、好みだ。
この作品では先ずやはり個性派キャラクターたちが見事に役にはまっていた点が挙げられるだろう。本作の撮影のために体重を一気に増加させ、額の髪の毛さえも本当に抜いてしまったと言われるデ・ニーロが狂気の帝王を見事に演じきっていた。特に会議の席での部下の粛正のシーンは、あのデ・ニーロの目の色と合わせ、ぞっとさせる迫力を持っていた(でもデ・パルマ監督、知ってたかな?日本ではあれ、『宇宙戦艦ヤマト』のシーンでそっくりなところがあったことを…ひょっとしてデスラーってヒトラーだけじゃなく、カポネのパーソナリティも参考にしていたのか?)。
その悪に対抗する正義の味方達もそれぞれがしっかり役が地に着いた演技を見せてくれる。特にやっぱりコネリーの巧さだろう。007で見せていた軽さと重さの同居した役柄はどこへやら、渋い演技を見せてくれた。後は勿論その間にあって個性を発揮していたネス役のコスナーも、しっかりそれに渡り合っていた。それに本作で一気にメジャーになった感のあるガルシア。やはり配役が見事だ。
こういった個性的俳優に押された感じはあるけど、30年代を演出した舞台や設定、小物もしっかりしてるし、アルマーニに特注したという衣装も見事(設定マニアとしてはこっちも結構重要な要素)、モリコーネによる音楽も又良い。
それとやはりデ・パルマ監督監督らしい派手な演出方法も良し。銃撃戦に始まり、乱戦の中で出てくるキャラクターごとの個性や想いのようなものまで演出できるのは監督ならでは。乳母車の階段落ちという、古い映画が好きな人に対するサービスもしっかりしてる(笑)。エイゼンシュタイン監督へのオマージュか?と思わせておいて、ストーン役のガルシアの動きが凄い。ネスに銃を放り投げたストーンが、転がる乳母車を足で押さえ、すぐさま背後の敵に銃を突きつけるまでの連係プレイ。それをスローモーションで演出する辺り、上手いよなあ。背筋がぞくっとしてくるよ。
劇場で観られて良かった作品の一つで、細かいところまでしっかりしているのでビデオで繰り返し観るに耐える良作。
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