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[コメント] 逃亡者(1993/米)

これほど脇役が主演を食ってしまった映画も珍しい。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 「リチャード・キンブル。職業、医師。正しかるべき正義も時として盲る事がある。彼は身に覚えの無い妻殺しの罪で死刑を宣告され、護送の途中列車事故に遭って辛くも脱走した。孤独と絶望の逃亡生活が始まる。髪の色を変え、重労働に耐えながら、犯行現場から走り去った片腕の男を探し求める。彼は逃げる、執拗なジェラード警部の追跡をかわしながら。現在を、今夜を、そして明日を生きるために…」

 そんな「逃亡者」の映画リメイク。ただ、TVシリーズに思い入れがある場合、キンブル役にハリソン・フォードを配する事によって、アクション主体になってしまったところがちょっと違和感を感じるし、何より何があろうと決して諦めないキンブルがタフすぎる。テンポも温めで、リメイクとしてはちょっと失敗と言った感じ。ただ、これを別物として観る場合、これはこれでありだろう。

 本作ではやっぱりハリソン・フォードよりもジェラード刑事役のジョーンズが突出して良い。「レ・ミゼラブル」のジャヴェールのような役回りなんだが、理詰めで捜査を行い、キンブルの言葉もしっかり聞いているところが絶妙な匙加減と言った感じだろう(実際長い下積み生活を送っていたトミー・リー・ジョーンズは本作でブレイク)。5年後に『追跡者』としてジェラードが主人公の作品が作られるのもむべなるかな。

 思い入れなく、一本のアクション映画として観る分には結構良質な作品だろう。

(評価:★3)

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