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[コメント] ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007/日)

たいした予告編だよ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 前の劇場版から約10年が経過。庵野監督の「これを越さないと新しい一歩が踏み出せない」という思いにより新シリーズとして、劇場作品として作られることとなった。その第1作が本作。

 で、物語としてはTVシリーズの前半部分を忠実にリメイク。本作の存在位置はそれ以上でもそれ以下でもない。それは分かっているんだが、はっきり言えば、かなりがっかりした。

 いや、それは観る前から分かってはいたのだ。予告を観てもそれ以上のものはないし、がっかりするいわれはないはず。逆にこれだけ綺麗に作られていることに感謝すべきなんだと思う。だけどなんだろう?この失望感は。いや、それ以前に私は一体何を期待していたのだ?

 改めてそれを考えると、私が期待していたのは、この新世紀に見合った新しい演出だったんじゃないか。と今は思う。

 確かにテレビシリーズでの演出は際だって良く、何度も新鮮な驚きを与えてくれた。しかしそれはあくまで10年以上も前の話。既に一回やったことをなぞるだけでは映画にした意味がないだろう?

 しかもテレビの演出の一つには期待感があったと思うが、それは30分という時間を丁寧に用いて「次は何が起こるんだろう?」という思いを抱かせてくれたから。しかし、この作品にその期待感は全然無い。凝縮しているはずのストーリーは確かに破綻はないのだが、全然期待感を持たせてくれない。あるのは「ああ、あのシーンだな。ああ、綺麗になってるな」という程度。劇場版として作るんだったら、劇場用の演出のサプライズがあっても良かっただろう。綺麗にしただけではサプライズにはならんのだよ。

 結局1時間半、見知った話が延々と続くばかりという結果。

 中にはいくつか確かに新しいものもあるにはある。だけど、それは“既知感”であり“期待感”にまで昇華されてはくれなかった。

 まあ、それでも画は綺麗になってるし、次回作はテレビシリーズとは異なった形で作られる事が暗示されているのは良かったけど。次回作は色々演出も凝ってくれることを期待しておきたい。

 強いて言えば、本作の位置づけとは、1時間半に及ぶ長大な予告編だったと言うことで…あ、そう考えてみると本作の素晴らしさが見えてきたぞ。これまで誰もやったことのない長大な予告編を作った。これだけでも賞賛出来るのではないだろうか?

(評価:★3)

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