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[コメント] エリザベス ゴールデン・エイジ(2007/英=仏=独)

私にとってこの2時間はまさに至福の時間でした。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 私は歴史物の映画がとても好きだが、これにはちょっとした理由がある。歴史自体が好きなのだが、致命的な事に私は年代や人物、地理といったものを覚えるのがとても苦手。一瞬覚えたつもりになっても頭のどこかに行ってしまい、肝心な時に出てこないことばかり(関連づけはされなくても頭の中には入ってるらしくて、どうでも良い時に噴出する事が多いのだが)。対して映画は視覚的なものなので、映像が脳内に焼き付いてくれると、後は忘れない。私の頭の中では歴史の勉強と映画とはかなり密接な関係を持ってくれる。だから歴史作品を映画で観るのは、私の映画に対するモチベーションだし、目的でもある。

 特に私にとって素晴らしい歴史映画というのは、頭の中にある断片的な知識が一つの歴史事象として統合されていく事であり、一般的な意味で娯楽性が低かろうが、その瞬間はとても幸せな時間に浸っていられる。

 のっけからアメリカのヴァージニア州の語源。当時パタータと呼ばれた馬鈴薯やトバッコーと呼ばれた煙草が登場。更に当時のヨーロッパの人物関係や陰謀など、次々に頭の中でパチンパチンと音を立ててピースがはまっていく。この楽しみは他の映画では味わえない喜び。

 はっきり言ってしまえば、本作はそれだけで充分。と言った感じ。

 とはいえ、それだけではない。何せ登場する人物が私の好みの人ばかりで、その演技を観ているのも楽しい。

 作品毎に全く姿形を変えてしまうブランシェットの鬼気迫る演技はもはや芸術レベルで、驚くほどガリガリに痩せ、しかも年齢を感じさせる演技には驚くばかり。改めてファンになってしまうよ。それにイギリス人男優としては現在一押しのオーウェンも絡んでくるので、単なる好みだけで言わせてもらえれば、これは最高の作品。

(評価:★5)

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