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[コメント] ラスベガスをぶっつぶせ(2008/米)

確かに面白いのですが、説明不足の部分が多すぎました。原作読んでみたいですね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作の肝はカード・ゲームのブラック・ジャックの必勝法(オリジナル題の『21』というのはブラック・ジャックの最高手のこと)。基本的にそんなものはない。と言われるのだが、実は必勝法ではないが、勝率を上げる方法はあるらしい。ブラック・ジャックには四組だか五組だかのカードが全て使われており、それを使い切るまでが1ゲームとなる。だからその全ての出したカードを覚え込んでしまえば、残りのカードにどんなカードが多く残っているのかが分かり、勝率はぐっと上がるというもの。子がエースと絵柄の組み合わせによるブラック・ジャックになると、そのゲームは文句なく子の勝ちとなるので、残ったカードに絵柄とエースがより多く残っていれば、ぐっと勝率は上がるわけである。

 勿論常人には到底出来る方法ではないし、これが使えるのは、カードが残り少なくなったときだけ。という問題がある(と言う事は雑学では知っていた)。それをカードの覚え方を単純化させ、チームを組ませることによって、勝率を更に上げていく。というのが本作の肝。なるほどこういう方法があったのか。と思わせればそれで充分。設定においてはかなり面白い視点だった。

 物語そのものもよく練れていて、ややオタク傾向の強かった主人公が成功に溺れ、やがては思い上がりのために自滅。全てを失ってしまった主人公が最後に使った妙手とは…と言った具合に、物語の形式もしっかりしてるので、素直に楽しむことが出来るだろう。これだけ派手に浮き沈みする立場も、青春ものと割り切って考えればいい。こういった青春ってちょっと憧れるし。

 主人公のスタージェスはこれまで無名の男優だったが、表情の変化がなかなか面白い人物で、脇を締めるスペイシーやフィッシュバーンというヴェテランの助けもあってかなり好演。少なくともオープニングとエンディングは同じ部屋にいるはずなのに、表情が見事に変化してる。表裏を上手く使いこなせる役者で、これからの活躍に期待できそう。  それで概ね高評価ではあるのだが、色々な意味で細かい問題も散見できる。

 一番が、ブラック・ジャックとはなんぞや?という人には全然話が見えないという点。過去を振り返っているって設定なので、ナレーションを効果的に使えば、ぐっと親しみが持てたはず。カウントの方法だって、ある程度事前に知ってないと、何が何だか?と言う感じになってしまうので、その方法は劇中に説明して然り。

 それと、褒める部分は多いものの、やっぱり主人公のスタージェスにはちょっと荷が勝ちすぎてたかな?ふてぶてしさが足りないので、最初から最後まで戸惑った表情のまま。昔のジョシュ=ハートネットはこの辺が上手かったもんだが。

 後、最後までどうしても疑問だったのが、スペイシー演じるローザ教授の位置づけ。冷静な人間と本人が言う割に感情的になって墓穴を掘ってしまう辺り矛盾が多いし、過去から現在までにとんでもない額の金をギャンブルで手にしているという設定の割には、何でそんなに金に困っているのか、全く説明がない。少なくとも200万ドル以上は手に入れてるはずなのだが、家には10万ドルくらいしか置いてないって言ってたし、そう言う意味では謎が多すぎるのがすっきりしない。

 この辺、原作だったらちゃんと書かれているんだろうか?その辺の引っかかりがあったので、観終わった瞬間はかなり評価高かったんだけど、だんだん低くなってきた。原作読んでみたくなっただけでも成果ではあるが。

(評価:★3)

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