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[コメント] 孔雀夫人(1936/米)

家族がぶっ壊れる物語って生理的に駄目っす。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 上手い監督であることは認めるけど、ワイラー監督作品はどうにも苦手。監督が得意とするエゴむき出しで相手を傷つける台詞の多用が続くと、なんかげんなりした気分になる。これは私自身の資質の問題でもあるのだが、家族が壊れていく物語がどうにも苦手なので、特に本作は精神的にきつかった。

 人間関係はお互いに仮面をかぶって行うことになる。相手には自分の悪い面を見せないように気遣いをするのがたしなみというものだ。いや、自分自身でも見たくないから仮面をかぶるのかも知れない。だが、それが剥がれる時が来るものだ。

 ここではそれは妻のフランにとって、「これまでこんな男のために我慢し続けた」という思いであり、夫のサムにとっては、「大物ぶっていた自分自身は本当は妻に捨てられることを恐れる気の弱い男だった」という事実。

 生活が安定しているのならば、それはお互い見ないように出来たのだが、旅に出ることで、日常性が崩れ、その気持ちに自分自身が気付いてしまった。それがお互いの関係の破壊へとつながっていく…

 設定部分は素晴らしいし、前半部分の大物ぶりがどんどん情けなくなっていくウォルター=ヒューストンの好演ぶりは認めるのだが、残念ながら、どうにも私には、それが痛々しいだけに感じられてしまって。

 何にせよ、家族をこうも簡単に捨てる物語ってのは、どうにも合わない。

(評価:★2)

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