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[コメント] ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない(2009/日)

多分こう作るしか無い作品なんだけど、こう作ると駄目になる方向に見事に着地した。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 一時期流行った「電車男」パターンの書籍を元にした映画化作品。一応私もこの作品読んでいたのだが、「電車男」とは異なってリアルタイムではなく、これまでの自分の周りを振り返っての物語となっていたのが特徴。最初の書き込みが「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」から始まり、何故限界を感じたのか、そして今、何を考えているのか、など、結構意外な展開が待っていた。書籍として読む限り、結構面白かった。

 しかし、映画版『電車男』とは異なり、これは映像化向きの作品じゃなかろうと最初から思ってはいたので、映画化されても完全スルー。その後CSで拝見。

 …で、心配していた通りだった。あの原作を忠実に映像化したら、こうなるしかないという作品そのまんま。

 原作が小説として面白かったのは、著者が書いているのは過去の話ではあっても、そこに他者の書き込みが入ることで、インスピレーションを受けて著者の解釈が少しずつ変わっていくと言う事と、物語がだんだんとリアルな時間に近づいてくることによって、著者の考えがまとまっていくというところ。リアルな時間と過去がごちゃごちゃになることによって物語が面白くなっていったのだ。特に最後のオチ部分は、主人公の行動を追体験する思いをもっているから、オチとして成り立ってる。

 ただ、その部分は映画では映像不可能。少なくともこれを映像化する可能性があるとしたら、もっと長く時間が取れるテレビドラマくらいだろう(仮に映画でそれをやったとしたら、混沌になるしかない)。

 一本の映画として考えるなら、こう作らざるを得ないのだが、原作のおもしろさを全てスポイルする結果となってしまった。こう作るしか無いのは分かるんだが、あんまりにもそのまんまなのは、やっぱり観ていてきつい。

(評価:★2)

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