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[コメント] 機動戦士ガンダムUC episode3 ラプラスの亡霊(2011/日)

最もバランスの取れた好作。この時間にこれだけのストーリーと描写をよく詰め込んだ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 1作目『機動戦士ガンダムUC episode 1 ユニコーンの日』がストーリー重視の話で、前作『機動戦士ガンダムUC episode 3 ラプラスの亡霊』がアクション重視の話となっていたが、三作目となる本作はドラマ性と描写の双方に於いてかなりしっかりと作られた作品と言えよう。

 ドラマの部分だが、私なりに言わせてもらうと、ドラマパートで見るべき部分は三つある。

 第一点が主人公バナージについて。バナージはラプラスの箱を開けるために必要な存在となった。これは結構重要な部分で、単純に強いとか天才だからではなく、戦う相手が手心を加えねばならなくなったため、その強さに補正が入ってるのが面白く、(現時点では)絶対無敵状態。だが、そこでバナージは自分次第で箱をどう使うのかという事が突きつけられることになる。バナージ次第で、連邦と宇宙移民の運命が変わってしまう。これは以降の物語の伏線となり、これまで単に戦っていれば良かっただけの自分が、今度は様々な事を学ばねばならなくなる。その学びが始まったのがこの話である。ここから本作オリジナルの展開が始まったとも言えるだろう。

 第二点として、マリーダの真実。お姉さんキャラとして登場したマリーダが実は「ZZ」に登場したプルのクローンの一体であるという過去。「ZZ」最終話でキャラ・スーンを襲った量産型キュベレイの一体に乗っていた人物であったという事が分かったのが、本作が初見であれば大きな衝撃となるだろう。

 第三点。これまで鼻持ちならない軍人としか見られなかった連邦のエコーズのダグザが、単に権威主義ではなく、本当に連邦のため、自らの信念のために命を懸けていることが分かったところが大きい。これは本作品全体について言える事なのだが、本作の大きな特徴として、本作に登場する人物達はおしなべて初登場時に持った印象が、何かのきっかけに印象が変わるというのがある。前述したマリーダもその中に含まれるのだが、全編を通してこのパターンの話が多い。今回のダグザは描写としては最も優れたものになっていた。

 この辺のドラマパートは当然ながら小説の方が細かく描かれているため、この辺の機微は小説を読んでないと分からないという問題はあるものの、あらかじめ小説を読んだ身としては、「良くここまで描写した」と素直に賞賛出来る出来だった。

(評価:★3)

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