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[コメント] ステキな金縛り(2010/日)

今回は小品っぽいけど、色々ニヤニヤ出来るので、やっぱり上手いね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 これまで三谷監督は舞台と映画とテレビの三つのメディアで劇作しているが、それぞれのメディアで、そこでしかできない演出を重視して作品を作っている。それぞれのメディアの強みや限界を知っているからこそ出来る、監督ならではの作品を作り続けている。

 それで三谷監督の作る映画の特徴はカメラワークに最大の特徴があるだろう。基本的にカメラは固定で、特に人間を撮る場合、まるで舞台のような狭い空間の中で画面の中だけで演技させているのだが、そう言った制限の中で映画ならではの演出を模索するのが演出の妙。

 そして本作では、その演出をこれまで以上に舞台寄りに持っていったのが特徴となるだろう。実際本作における固定カメラの用いられ方は際だっており、ちょっと演出を変えればそのまま舞台に使って良いような演出が続く。その分ちょっとこぢんまりした印象がぬぐえないが、そこで幽霊という、目に見えないものを持ち出すことで幅を出している感じ。演出を舞台寄りにして、舞台では出来ないものを作る。相変わらずチャレンジを続けている訳だな。

 話そのものもなかなか楽しく、大いに笑わせてもらったが、多少その笑いがあっさりしていたのと、しんみりさせる部分が演出不足だった感はあるか?大いに笑い、重要なところでは泣けるようなものを求めていたが、そこは多少不満だったかな?

 あと三谷作品で楽しみなのは、いわゆる三谷組の総出演ぶり。カメオ出演でなじみのキャラがどんどん出てくるので、「ここにこいつを持ってきたか」というのが楽しい。今回も唐沢寿明とか佐藤浩市とかが意外なところで出てくるので、それ眺めてるのも楽しい(ちなみに佐藤浩市の役名は村田大樹だそうで、これって『ザ・マジックアワー』で出てきた本人役)。更に映画のオマージュが小気味よく決まってくれるので、「分かってらっしゃる」とニヤニヤできるのも嬉しい。

 今回は少々小品っぽかったけど、充分楽しめたのでこれで良しだろう。

(評価:★3)

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