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[コメント] 菩提樹(1956/独)

サウンド・オブ・ミュージック』では語られてなかった側面もあり、見応えはあり。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 いわゆるトラップ一家物語の最初の映画化作品。この家族を描いた作品だと、『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)というあまりにも素晴らしい作品があるために、あまり顧みられることがないのだが、この作品も決して悪いわけではない…いや、かなりの良作といってもいい。

 ややお涙ちょうだい的な部分があるとは言え(これは当時、オーストラリアはナチス・ドイツの被害者であるという「犠牲者神話」があり、それを肯定する内容になっているため)、ちゃんと物語に緩急が付けられているし、緊張感と軽快なストーリー運びがうまい具合にはまっていて、普通に良質作品と言える内容でもある。

 何より『サウンド・オブ・ミュージック』では触れられなかった、アメリカに渡った時のエピソードが入っており、実はその部分が本作のクライマックスになっているというところが良い。単に同じ物語を映画化したというのではなく、きちんとその辺の違いが観ていて分かるところがなかなかよろしい。

 ちなみに本作の原題は『Die Trapp-Familie』で、そのまま「トラップ一家」と訳した方が、『サウンド・オブ・ミュージック』以降では良かったかと思うが、菩提樹という歌が物語のキーワードになっていることもあって、この邦訳で良かったんだろう。

(評価:★4)

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