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[コメント] ソロモンの偽証 後篇・裁判(2015/日)

前編の引きがあんなに良かったんだけど、その結果がちょっと納得できないな。バランスは悪くないけど。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
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 『ソロモンの偽証 前篇・事件』から矢継ぎ早に出された後編。この作品もかなり長く、二つの作品を合わせれば、総上映時間は5時間に至るという超大作となる。だがその長さは無駄にはならず、これだけの長編だからこそ出来るしっかりした作りに仕上げられていた。

 前編から続くドラマとしての作りは本当にしっかりしていて、一人一人の心理描写や葛藤まで織り込んで法廷の証言席での告白に至らせているので、観ていて本当に心地が良いし、はまるべきパーツがはまるべき所にはまっていく緻密さがあって、それがとてもよろしい。

 ただ後編である本作は、法廷という大きな舞台があるため、そこに付随する他の物語があまり入れられなかったのはちょっと足りない感じもある。前編で出せるだけ出した付随する物語を回収する事しか出来ないため、心理描写に立ち入ることが難しかったかもしれない。

 全般的に見る限りは、それも含めてバランスはしっかりしていたとは思える。

 ただ、物語について言うならば、ちょっと肩すかしな感じがあるのも事実。前編の引きがとても良く、一体どんな物語展開になるの?と思っていただけに、この結論は「そりゃないだろ!」というレベル。いや、物語としてはこれでも良いのかもしれないけど、法廷ものの映画はどんでん返しこそがその醍醐味であり、それを期待して観ていたのだから、それが与えられなかったんだからフラストレーションもたまる。これだけの長さの後だからこそ、「そうだったのか!」と言う演出はやっぱり欲しかったな。それがありさえすれば、本作は前後編合わせて大傑作となり得たはず。その意味ではとても惜しい。

(評価:★3)

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