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[コメント] メッセージ(2016/米)

ジェレミー・レナーはこの作品でもホークアイ的立場だった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 ジャンルとしてはこれは古くからあるファーストコンタクトものの作品とは言えるだろう。知性の高い知的生命体が宇宙からやってきて、人類に覚醒を促すというパターンは映画でも数多く作られている。多くはインベーダーによる地球侵略ものとなり、ほぼ毎年のように作られ続けているが、そういうのではなく、メッセージ性を高めた交流を描いたものもいくつか存在する。

 古くは『地球の静止する日』(1951)から『2001年宇宙の旅』(1968)、『未知との遭遇』(1977)などが代表作となるだろう。本作もそれにつながる作品として記憶に留めておくべき作品だ。

 そう言う作品では、異星人は地球人にプレゼントを持ってくるが、そのプレゼントを受け取るために地球人が進歩しなければならないとするのが共通する特徴。かつてSFに夢が溢れていた時代には、人の知性が全てを解決すると見られていたので、彼らが持ってきたプレゼントは人類としての知性を高めるためのものとなっていた。

 本作も又、それらのSF作品に共通するものがあるが、2010年代に作られた本作は、夢に溢れると言うよりは、「早く理性を取り戻さないと地球は本当に危ない」という危機感に溢れたものになってる感じがする。だからこそ社会派作品として、数多くの賞をいただくことができたのだろう。

 本作を特徴付けるのはもう一つある。それは次元という問題である。

 昔から四次元とは一体どんな世界なのだろう?という哲学じみた話がSFでは盛んに取り上げられていた(映画では8次元を扱った『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』(1984)とかいう作品もあるが)。

 “点”が一次元、“線”が二次元、“立体”が三次元とすれば、四次元とは一体何なのか。その一つの解釈として、“時を制する”という概念があった。時を制することによって、三次元的思考では到達できないところに行けるというものである。

 本作は、その“時を制する”という入り口に人類を運ぶのが異星人の役割であり、それに最初に気がついたのがルイーズであった。という話になっていく。物語冒頭から挿入される幻想は、あたかも過去に起こったことのように思わせながら、実は未来を見ていたと言うオチを作っているが、これこそが時を超えるための第一歩となっていくわけだ。

 それによって彼女の身に起こった変化が、やがて全人類の共通した力へと変えられていく。そこに希望を見いだすのが本作の特徴と言えようか。終わり方はあっさり目だが、人類に向かっての大きな希望を描いているのが好感度高い。

(評価:★3)

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