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[コメント] ハクソー・リッジ(2016/豪=米)

良心的兵役拒否者で銃を持たない衛生兵。こんな魅力的なキャラをこれまで映画化してなかったのが不思議なくらい。良いところに目を付けた。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 大概の実力を持った監督だったら本作をしっかり作る事は出来ただろう。だがこれを監督したのがメル・ギブソン監督というのが特徴で、しっかり監督らしさの演出が入る。

 その主人公を敬虔なクリスチャンとして描いたと言う点がそこにある。勿論アメリカ軍の兵士のかなりのパーセンテージはクリスチャンで、敬虔な人もたくさんいたことだろう。だから良心的兵役拒否者を描いたということが最も特徴的な部分と言えようか。

 ひたすら人を救い続けるという彼のアイデンティティでありモチベーションは全て聖書から来ているとすることで、はっきり本作は宗教色の強い作品になっている。それこそがギブソン監督らしさといえよう。こういった、「この監督にしか作れない」付加要素って結構大切。

 そして演出面だが、ハリウッドメジャーから完全に閉め出されたお陰で、戦場の臨場感は半端なく、一昨年の塚本晋也監督の『野火』(2014)を彷彿とさせるゴアシーンもあり、かなり好き放題やってる感じ。戦場の臨場感とは、弾が飛んでくるとか戦うだけではない。人の尊厳が消失するシーンが見えてくるところにある。その部分をちゃんと作っているので、これも評価高い。

 アメリカの側から見たのだから仕方ないけど、日本兵の方が扱いがぞんざいなのは日本人としてはちょっと拒否感は出てくるところもある。戦いの始まりの所ではアメリカ兵と日本兵の損害は大体同じくらいだが、物語進んでくると、日本兵がほとんどゾンビ状態でわらわら湧いてくるようになって、こういう描き方って画一的だなあ。と思う部分もあり。その辺が不満点なので、そこまで点数を上げられない。

(評価:★4)

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