[コメント] 熱いトタン屋根の猫(1958/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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テネシー=ウィリアムズのヒット舞台劇の映画化で1958年全米興行成績3位。『欲望という名の電車』(1951)などで知られるようにこの人の戯曲は本当に人間性を剥き出しにした脚本が有名だで、本作でもエキセントリックのキャラクタ。心をえぐるかのような台詞の応酬など、特に中盤の展開は観てるだけできつくなるような話となっている。原題の『Cat on a Hot Tin Roof』というのは、そこにいたたまれない気分を表すらしいので、題もぴったりだ。
特にこういうのは私は苦手なので、かなり引いていたのだが、逆にそのきつさがラストの感動へと変えられているのは事実。ためにためて不快感を増していき、最後は和解へと持っていくのは映画としては正しい作り方。
まあ、本作の場合そう言う物語よりもキャラを見る作品であることは確か。ちょっと老けたけど、相変わらず綺麗なリズの精神崩壊ギリギリの演技と言い(夫マイケル=トッドの死後まもなくの撮影)、タフガイを気取りつつ、実は心が弱いという役柄のニューマンの演技も流石だ。しかしよくこんな役を引き受けたもんだな。人を苛立たせる役を敢えて演じた長男夫婦の偽善者ぶりとエキセントリックぶりもなかなかキてて良い。それぞれが難しい役どころを上手く演じている。
ちなみにニューマンが演じるブリックは原作ではホモセクシャル。この時代では直接的には描くことが出来ず、台詞の言い回しなどもかなり苦労していることが見て取れる。ニューマンとリズの会話にそれは見て取れるが、あの会話はなかなか歯がゆい所があるよ。最初私も「おや?」と思ったが、実際に裏設定を知ることで納得いった。
テイラーの美貌を際だたせたシンプルなドレスは2度のオスカーに輝くヘレン=ローズによるもの。全米から問い合わせが殺到し、ローズはアパレル・ビジネスを始めるきっかけとなったとか。
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