[コメント] 僕のワンダフル・ライフ(2017/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ハルストレム監督と言えば、私にとって最も思い出深い監督の一人である。たまたま劇場で観ることが出来た『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』は感動のあまり、しばし席を立つ事が出来なかったほどだ。
それからすっかり監督のファントなり既に30年が経過した。その間の作品もあらかたは観てきたのだが、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』、『HACHI 約束の犬』、そして本作と日本で紹介される映画の多くは何故か犬関連が多いことに気づいてしまった。
そうか。今頃になって気がついたが、監督って相当な犬派だったのか。
猫派の私が犬派の監督を好きになってしまうとは不覚だった。
だが、実はつい先日嫁さんの強いリクエストで、家で犬を飼うようになってしまった。今でも自分は猫派なんだが、家に帰ると全身で喜びを示し、顔中舐め回されたり、寝転がった私の腹に寝そべって無防備に眠りこける犬を見るにつけ、「ああ、飼って良かった」と日々思うし、家に帰るのがなんか楽しくなってしまうようになり、自分では全く意識しないまま、ますます監督の作品を好きになってしまっていた。
それでもう一つ分かった事がある。
映画好きな人にはいくつか「ツボ」と言われる作品がある。多量に映画を観ていると、作品そのものの完成度は低いのに、何故か異様にこれが好きだという作品に巡り会うことがあるのだ。
観ているだけで心動かされ、涙まで出てくるような感動的な作品なのだが、全般的な評価が低く、「何故?」と思えてくるようなそんな作品のこと。そう言う作品をいくつかピックアップすると、自分にとってこの傾向がツボであるとわかってくるものだ。
そんな意味でそういったツボにはまるテーマというのをいくつか発見してきたのだが、思い返してみると、そう言うツボをつく作品というのはハルストレム作品で発見することが多かった。例えば『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』も、『ギルバート・グレイプ』も、『シッピング・ニュース』も。どれも何故感動したのか分からず、後になって「ああなるほどこの点でツボを押したんだ」と分かる。
それで今回も又新しいツボが発見されてしまった。
他でもない。犬の死を情緒的に描いたら、もう涙腺決壊してしまうということ。まさしく犬を飼い始めたからこそ出来てしまった新しいツボである。新たなツボまで発見させられてしまって、悪く言えるはずがない。
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