[コメント] インクレディブル・ファミリー(2018/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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前作は本当に良質な作品だった。物語の良さは当然として、何よりヒーロー論に真っ正面から取り組んだ設定が素晴らしい作品だった。ヒーローとはどのような存在であり、ヒーローであり続ける意味というものを真っ正面から描いたのが『Mr.インクレディブル』であり、実はこの映画の存在が後のヒーロー作品に大きな影響を与えていた。ヒーローものの教科書的な作品と言ってもいい。
かくいう私もこの作品には多くのインスピレーションをいただいたし、相当勉強させていただいた。私にとっては忘れることの出来ない大切な作品である。
そんな作品の続編というので、大いに期待していたし、確かに『Mr.インクレディブル』の続編には違いない。物語もすっきりしてるし、時空系列も矛盾がない。キャラクターの相関関係も含めて10年のブランクも感じられないほどスムーズにつながっていた。
でも、なんか「違う」という感触がずーっと続いていた。観たかったのはこれではないという思いが拭いきれない。
結局それは作品にプラスアルファを求めすぎたわたし自身の問題だろう。あんなにしっかりしたヒーロー論を展開してくれたのだから、てっきり本作はあれから10年経って、現在のヒーロー映画ブームに対する新しい提言があるのかと思ってた。
いや、それもあったのかもしれない。私がそれに気づかなかっただけかも知れない。しかし私にはそれは感じられなかったし、ごくごく普通のドラマの範疇から出るものとは感じられなかった。
本作は最初からヒーロー論を展開させるつもりがなかったのだろう。大いに盛り上がる話を作り、みんなでお祭りのように楽しむために作られた。それは立派な目的だし、それに文句を言う筋合いもない。だけど、それが出来ていた前作を観た後だけに、パワーの低下を否応なく感じさせられてしまった。
正直残念である。
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