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[コメント] 若おかみは小学生!(2018/日)

言い方は大変悪いのだが、傷ついた小動物を慈しむような気分で観てしまう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作に対していくらかは難点も言える。

 例えばおっこが健気すぎて、こんな小学生気いるか?とか、基本登場人物がいい人ばかりで話が出来すぎで、ひっかかるところがないとか。

 でも、これらの難点こそが本作の売りでもある。

 数年前からテレビアニメでは、いわゆる日常系のアニメというのが多く作られるようになった。多くのパターンでは、主人公を含めて友達とかはほとんど女の子で、会話中心の日常生活を描く事に特化した作品である。概ね物語は無きがごとし。盛り上がるような盛り上がらないような日常生活を描くため、疲れた精神を癒やすような優しい物語となっている。

 本作もその延長線上に当たるとも言える。

 おっこは両親の死という悲しい現実もありながら、ひたむきで努力家。ちょっと空気が読めないところもあったり、妄想癖(幽霊が見えるため)があると周囲から思われているが、ひたすらまっすぐで明るい性格をしている。彼女を慕う友達や幽霊なども含め、基本的にほんわかした雰囲気を持つ話になっている。この辺は映画を観ていながら、なんか愛玩動物を愛でている感じになってしまう。

 一方、おっこは両親を失うという最も悲しい思い出を抱えているし、それを片時も忘れてないという部分が精神に突き刺さり、それがおっこの健気さをますます際立たせることになる。

 この例えが正しいかどうかはともかく、「傷ついた小動物が一生懸命に生きようとしているのを見つめている」感覚と言うべきだろうか?あるいは親のような気分で健気な少女を見守るというか。終始優しい気分で観る事が出来る。

 そういった感情を抱かせるアニメこそが一つの目的となるだろう。おそらくこれ以上ない理想的な作りだと言える。

 それと、何気ない日常を描くからこそ、繊細な動きを大切にした演出も重要。手を抜かずに日常の細々した描写に力を入れてくれたお陰で大変素晴らしい時間を得る事が出来た。

(評価:★4)

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