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[コメント] ヴェノム(2018/米)

出来たものは古典的な凸凹コンビのバディムービーだった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作の最大の特徴を言うなら、主人公がヒーローではなくヴィラン(敵役)であるという事に尽きる。

 スパイダーマン曰く、力を持った責任として人のために尽くすのがヒーローなら、その力を自分の欲望のためだけに使う、若しくは破壊衝動のまま生きるのがヴィランの特徴といえる。本作でも主人公のヴェノムは自分の生存を第一に考え、生きるためには時に人を食らうし、様々な寄生主を渡り歩いたりする。

 そんな暴走気味のキャラをどう主人公にするのかということに関して、本作はとても単純明快でわかりやすい答えを用意した。

 単純な話だが、ヴェノムに寄生される側の人間をヒーロー的な性格にしてみたのだ。

 ヴェノムに寄生されるエディは、少々独りよがりの傾向はあるものの、社会正義を信じるまっすぐな心と、関わった人間を大切にする温かい心を持った人間として描かれる。

 そんな人間がヴェノムの宿主になった時にどうなるのか。

 それは、喧嘩しながら協力して、更に悪いやつをぶちのめすという物語となる。

 本作の主人公は実は二人。エディとヴェノムの凸凹コンビによるバディ作品として仕上がった。違いはこの場合のバディは心の一部を共有しているため、お互いに精神が影響し合っているということ。劇中にもヴェノムの言葉で、「お前のせいで許せなくなった」とかいう台詞があったし、エディは最後「悪人であれば食ってもいい」とかとんでもないことを言ってる(事実強盗を食ってる)。

 本作のヒットは、それが成功したことを示しているだろう。なんだかんだ言って、古典的なバディ・ムービーをヒーロー作品に取り入れてみたところ、意外なはまり具合を見せたというのが正しい見方になるのだろう。

 ただ苦言を呈するなら、設定のいい加減さがきつい。エディがヴェノムになって人を襲い、あまつさえ食ってるのは目撃されてるはずなのに、ラストでエディが普通の生活に戻ってるとか、いくらなんでもありえない。70年代の東映バイオレンスか?

 ラストシーンを活かすためにはエディは収監されていた方が良かったと思うのだが、その辺はやはり続編の伏線なのだろうか?

(評価:★3)

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