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[コメント] スタア誕生(1954/米)

ガーランドは名演ながら痛々しい。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 かつてウェルマン監督およびキューカー監督で映画化されたドラマをそれまで映画生活から離れていたジュディ=ガーランドの復帰作として、ミュージカル映画としてリメイク(現時点までに4作が作られている)。ガーランドファンに支えられ、1955年全米興行成績10位。

 アメリカ映画界、特にMGMのミュージカル映画全盛時代燦然と輝き、ヴィンセント=ミネリとの結婚でも有名となったジュディ=ガーランドだったが(二人の間の娘がライザ=ミネリ)、1950年頃から睡眠薬浸りとなってしまい、結婚生活は破綻し、MGMからも放逐されて碌々演技も出来なくなってしまったという。そんな彼女を救ったのがプロデューサのシドニー=ラフト。結婚後、彼が製作した作品にガーランドを指名し、彼女のために作ったのが本作と言われる。そのため、オリジナル第1作の『栄光のハリウッド』を監督したキューカーを起用。万全の体制を敷いた。

 本作ではまるでその立場が逆転したかのように、アルコール漬けの夫を甲斐甲斐しく看病する妻の役だが、その痛々しさが分かるだけに、この時の演技は鬼気迫るものがある。それにやはりミュージカル畑のヴェテランだけあって歌のうまさは折り紙付き。そしてメイソンの体当たり演技も素晴らしい(アカデミーはアル中演技に甘いと言われるけど、本作でもメイソンがちゃっかりノミネートされてる)。

 私はリメイク作である『スター誕生』(1976)の方を先に観たが、やはり脚本がベタな分、こちらの方が正しい作り方なんだろう。

 ただ一方では『スター誕生』(1976)と較べると間の悪さはどうしても感じてしまうし、特にこういったベタなメロドラマがどうにも苦手な私としては、さほど点数は高く付けられないのだが。

 ちなみに本作が復帰作と騒がれたガーランドだったが、睡眠薬中毒は止まることはなく、この後ラフトとも離婚。1969年には睡眠薬中毒で亡くなっている。そう思うと、演技も痛々しく感じてしまう。

(評価:★3)

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