コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 007/ユア・アイズ・オンリー(1981/英)

前作『ムーンレイカー』が異色作と言われるが、全く別のベクトルで、本作も異色作には違いあるまい。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 前作『ムーンレイカー』(1979)で無茶苦茶やりすぎたことを反省してか、荒唐無稽さよりも、ボンドの肉体を使ったアクションを中心とした、かなりストーリー的にもハードな作品。

 これを普通のスパイ映画とするなら、かなりの良質作品なんだが、ボンド・カーもQによる発明品も出てこない、派手な敵基地もない007ってのは、やっぱり違和感あるなあ。このシリーズはむしろその荒唐無稽さが信条だろうに。アクション・シーンも既存の兵器や乗り物に限定してる分、ちょっと地味かな?(それでもアルプスでのスキーとマウンテンバイクのチェイスなんかは無茶苦茶格好良いけど)。スパイ道具が無い代わり、手回り品を用いて色々用立てるアイディアはよかったね。

 一方物語だが、冒頭で宿敵スペクターの首領ブロフェルドとの攻防があったのに、彼が登場したのはここだけ。てっきり伏線だと思ってたんだが…大体、なんでここで出す必要がある?(旧シリーズとの決別?それとも単に「ブロフェルドはどうなったの?」という問いが多かったから?)。あれだと死んだように思えないから、又いつか登場して欲しいな。味方と思ったら実は敵、敵だと思ったら意外に良い奴で、身を挺してボンドを守るって演出は良いし(トポルが格好良いよ)、ラスト・シーンの「緊張緩和」はこれまでのシリーズにはないリアリティ。確かにスパイ映画としては良質作品には違いなし。

 本作の最大の売りはシーナ=イーストンの歌だったかもしれないな。耳に残る良い曲だよ。

 こぼれ話だが、この映画に登場したリスル伯爵夫人役、カサンドラ=ハリスは後に5代目ボンドとなるピアース=ブロスナン夫人。それでブロスナン自身も子連れで撮影現場を見学に来たとか。『トゥモロー・ネバー・ダイ』ではムーアの方が撮影現場にブロスナンを激励に来たのは、このためだとも。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。