[コメント] 魔女がいっぱい(2020/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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時折ゼメキス監督が映画に選ぶジャンルに童話が時折入ってくる。童話と言ってもいろいろだが、監督が作って面白いのは、どこかに毒があるものとなる。意外に童話でも残酷なものがあるので、それを乾いたタッチで描くと結構様になるのだ。
その意味では本作は最も監督向きの童話だったと思うし、期待通りのものが出来た感じ。
本作は単純な善悪では語れないし、オチもハッピーエンドでは終わらない。
確かに途中までは普通の勧善懲悪の童話のように思えるし、それに準じた物語展開のように思える。ストーリーフローとしてはネズミにされてしまった主人公が仲間達の協力を得て魔女に対して復讐を果たし、見事魔女を撃破するというもの。話自体はとてもストレート。
それは良いのだが、主人公がやってることは、魔女は全員悪であり、例外なく倒さねばならない存在としている。魔女にも色々いるだろうが、その辺の忖度はない。魔女という肩書きがあればそれは悪なのである。これが最後まで徹底しているので、逆に主人公がやってることがとんでもないものになってしまった。自分が受けた屈辱を倍にして返すが、返す対象は無差別とは、今の時代ではとても考えつかない。
そしてオチの部分だが、普通の脚本だったら、主人公が人間に戻れてめでたしめでたしになるはずが、主人公がネズミとして生きることを選択してしまってるし、寿命が短いことも含めて余生を力一杯生きる事をオチで選んでいる。その余生を全て魔女を懲らしめるために使うというのだから堂が入ってる。
未読ながら、これは原作に忠実なのだろうか?だとしてもこの容赦なさは、この時代に映画にしてしまって良いんだろうかと疑問さえ思う。
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