コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 次郎長三国志・旅がらす次郎長一家(1953/日)

こんな鬱展開を丸々一本やってしまうところに当時の映画人の意地を感じさせる。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 前作『殴込み甲州路』で見事溜飲を下げたものの、おおっぴらに出入りと殺しを行ってしまったため、お尋ね者となってしまった次郎長一家の顛末。

 ほとんどの場合、時代劇では人殺しは当然で、正義の側は何からも逃げる必要は無いが、これは一応実話を元にしているし、リアリティを考えるなら、実際には殺しは殺しで罪となり、追われるのは当然である。

 ただ、その追われる身となった次郎長を一本丸ごと使って描いたというのが本作の面白さ。全編ほとんど盛り上がりが無く、しかもラストに妻のお蝶が亡くなってしまうと言う悲惨な話を1時過半を使って描ききった。

 ちょっと気が滅入るような話ではあるが、続きものして考えるならば、これはとても画期的だし、タメの重要性もしっかり描かれているので、異色作なれど、完成度そのものは高い話だろう。

 監督としては、一度くらいはこういう作品を作りたかったんじゃないかな?

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。