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[コメント] JFK(1991/米)

歴史的事実を描いた作品かと思ったらトンデモ説の話でした。でもドラマとして面白かったから良し。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作の特徴として、その事件を客観的事実によって構成するのではなく、徹底して主観的に、完全な陰謀説として描いていると言う点が挙げられる。言うなれば、過激なだけが売り物のペーパーバックのトンデモ説を大真面目に映画にしてみました。と言う感じ。通常ならこの手の作品は映画にするととても陳腐なものになってあいまうため、極めて低予算で作られるのが普通だろうが、これを潤沢な予算でオールスターキャストで作ったおかげで、スケールが大きく、一瞬なり、真面目に信じてしまいそうになる。

 ケネディ暗殺事件には謎が多く、憶測を含め現在もなお様々な研究書が出されているので、あくまでこれは解釈の一つに過ぎない。それをあたかも唯一の真実のようにストーリー立てするのには少々鼻につくが、物語と割り切って見るなら、確かに面白い。

 そもそもストーン監督は本人の意識はともかく、アクション畑の脚本家だけあって、緊張感の演出や、静から動への話の転換の演出は上手い監督。本作もポリティカル・フィクションでありながら、あたかもアクション映画のような物語展開と緊張感をもたらしてくれる。無理やりアクションシーンを持ち込むよりも、会話や新展開をテンポよく盛り込むことで見事なエンターテインメント作品として仕上げられた。

 内容としても、実在の人物に対しする弾劾であったり(陰謀の陰にジョンソン副大統領と軍の首脳部がいたというモロな言及もあり)、所々あからさまに保守派に対する弾劾が入っていたりと、ストーン監督らしさも健在。少なくともこれまでの作品の中では最もバランスが良いものだと思える。少なくともここまで徹底して低評価しか与えられなかったストーン監督作品では最も評価が高くなった作品であることは確か。

 ここで焦点となったのは、ケネディ大統領が一種のヒーローであり、彼に任せていればアメリカは無謀な戦争に巻き込まれることは無かった。というのが前提になっているのだが、今になって考えてみると、そんなことだけで果たして暗殺にまで発展するだろうか?という気もする。ケネディが暗殺されたときはキューバ危機も去り、ヴェトナム戦争もさほど拡大していたとは言えない。結局この真相が分かるのはいつになることやら。

(評価:★4)

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