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[コメント] 男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975/日)

寅さんとリリーは似てるからこそ惹かれ合い、似てるからこそ反発する。この微妙なバランスがあるから面白いんです。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』以来二度目の登場となる浅丘ルリ子扮するリリーをマドンナに迎えての作品。二度目と言うこともあってか、前半部分はリリー自身だけじゃなく、兵頭という男も加えての物語となってる。心に傷持つ三人の旅はなかなか良いトリオぶりを見せてくれてたが、果たして兵頭の物語は必要だったのか?これを二つの物語を並行して描くとするなら、兵頭の物語はあまりに手を抜きすぎ。

 しかし、一方でリリーと寅さんとの物語に絞って考えるなら、これが又、実に良い作品なんだよな。浅丘ルリ子はシリーズ最多登場だけど、それもよく分かる、見事なマドンナぶりを見せてくれる。前作で売れない歌手がやっと見つけた人並みの幸せ。しかし、そもそも放浪者であるリリーにはそこに安住することが出来なかった。それが哀しみと共に演出される。仕草の一つ一つに寂しさを覚える浅丘ルリ子の演技は見事だ。しかも気性の激しさ故に、寅を好きになっても、結局喧嘩ばかり。寅とタメを張って言いたい放題言えるのはリリーくらいだ。

 最後は結局お互いの意地で結ばれないままなんだけど、この二人はほとんど夫婦状態と言っても良いくらい。これまで散々寅と喧嘩しっぱなしのとらやの面々でさえ、リリーに「よく言ってくれた」と頭を下げるくらいだから。

 これで物語があんまり安易且つバランスが悪くなければ最高の作品だったんだが。

(評価:★3)

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