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[コメント] 戦争と人間 第1部・運命の序曲(1970/日)

テレビドラマにした方が良い素材だけど、テレビじゃここまで金遣えない。痛し痒し。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 怒濤の日中戦争を背景に、軍財閥の一家の浮沈を通して日本が世界に対して何を行ってきたか。と言う事を告発する五味川純平の小説を、社会派監督として知られる山本薩夫監督により映画化。1970年邦画興行成績1位。

 その第一部となる本作は、もの凄く力が入っていることはよく分かるんだが、ちょっと力が入りすぎてる感じ。前提条件として原作を知ってないと話のもっていき方が掴めず、しかも基本は群像劇のために話が進んでいるようで進んでなく、かと思うと、あっという間に話が飛んでしまうと言った、あまりバランスの良い話ではない。どうもこれを観てると、最初から二度以上観ることを前提として作ってるんじゃないか?という気がする。それでも一本3時間以上という長さはきついし、何度も観たいと思うものでもないしなあ。出来るんだったら3時間を3作にするんじゃなく、2時間を5本くらい作ってくれた方が良かったような気がするし、むしろこれはテレビの連続ドラマでやるべき素材と言った感じ。

 確かに本作は見所には溢れていて、特に満州の荒々しさをここまでストレートに描いた作品はほとんど無いし、そこに偏見を入れないように淡々と描くことによって逆に迫力を増させている作りはたいしたもの。

 勿論オールスター登場の濃いキャスティング(本作は日活製作のため、日活スターが多数登場するのも結構珍しい)。貧富の差や男女間のハラスメントを一切考慮に入れてないアブナイ発言の数々など、今からすると「おいおい」描写も数多い。日本映画ってここまで描くことが出来たんだな。という意味合いも含めてかなり楽しめる作品とは言えよう。勿論3時間という時間に耐えられる人だったら。だが。

 原作は中国人民の視点がとても強い作品らしいが、一作目の本作は主要キャラが中国に行ってない事から、大滝秀治や地井武男と言った面々が中国人役で頑張ってはいるものの、物語が分断されてしまった感じなのは難点。

(評価:★4)

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