[コメント] 奇跡の人(1962/米)
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実在の二重苦の偉人ヘレン=ケラーの自叙伝に基づく物語の映画化作品。これまでに日本に紹介されているだけで3回映像化(内二つはテレビドラマ)されているが、本作はその最初の作品で、恐らく最も完成度が高い作品だろう。
事実後発の二つの作品を既に観ていて、ストーリーもほぼ同じにも拘わらず、本作はやっぱり凄いと思った。
結局それはキャラクターの存在感に他ならず。
ウェルメイドの物語、しかもストーリーがベタベタなものであればあるほど、そこで重要となるのはキャラクターの存在感となる。しかも本作では余計なカメラアングルやワークなど殆ど使われていないので、その分更にキャラクターに重責を負わせることになってる。
それを真っ向から受け止めて、存在感を出したのがバンクロフト。この人の若い頃の作品を観るのは、実はこれが初めてだったが、凄いもんだとしみじみ感心した。なんだかとても癇が強そうで、怒鳴ったり叩いたりするのが普通に見えてしまうのが凄いところだ。しかもそれを嫌味にならないギリギリのレベルで抑えてもいる。たいしたもんだと思うよ。そしてこの作品でオスカー最年少受賞(現在は更新されてるが)のデュークの演技も凄かった。今でこそこの手の演技は演技者の必須項目となっているくらいだが(本作がその足がかりを作った)、そのノウハウが全くない状態であそこまで鬼気迫る演技をなさしめた、その実力は買うべき。
カメラ・ワークを最小限に留め、まるで舞台劇を観ているような気分にさせられるが、それだけ演技者の実力があったからこその狙いなんだろう。
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