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[コメント] フレンチ・コネクション(1971/米)

リアリティに溢れつつ、傑作となった希有な例。このバランスの良さは特筆もの。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 愛すべきタフ・ガイ、ポパイの活躍を描く一作目。

 ハリウッド映画は刑事物がとにかく好きだ。現在でも数多く作られているアクション映画の半分位は刑事が主人公じゃないか、と思えるくらい、沢山の刑事が出てくる(日本のテレビでも似たようなものだが)。これは刑事という職業が“正義の執行者”として描きやすいからじゃないかと思える。

 だが、逆にこれだけ出ているからこそ、その書き分けが難しい。ドキュメント・タッチを強調しすぎると地味になりがちなので、主人公をスーパー・マン願望の強い男に仕立ててみたり(ハリウッドの刑事物の主人公はどっちかというと警察より病院に入れるべき性格のキャラクターばっかりだ)、場合によっては本物のスーパー・マンにしてしまったり…リアリティとの兼ね合いがとても難しい。実際に刑事がやってる事なんて、地道な調査と書類作成ばっかりだから、そんなところでリアリティを出しても何にも面白いことはない。

 それで本作は珍しくリアリティに溢れていつつも、紛れもない傑作に仕上がった希有な例だと言えるだろう。まあ、確かにポパイはちょっとイカれたところがあったりもするが、冬の寒い中、ひたすら張り込みで立ち続け、立ち食いでピザを食べたり、不味そうにコーヒーを飲んだりしている、地道な捜査をしっかり行う人物であることがよく分かるし、充分な捜査が進んだら、単独で犯人を追いつめようとする事もなく、最後は任せるべき所はちゃんと警察に任せている。その辺、やっぱりジーン=ハックマンの巧さだろうな。一見くたびれた中年男に見える彼がいつの間にか等身大のヒーローに見える演出が実に見事。

 ああ言うラストは珍しいんじゃないかな?それが又、特徴づけられてて良かった。<あれは続編を意識してじゃない。と思いたいんだけど…

(評価:★4)

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