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[コメント] 怪獣大戦争(1965/日)

この作品における本当の主人公とは?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本多猪四郎監督が子供向けに徹して作り上げたゴジラ・シリーズの一本。記憶によると、シリーズ6作目。

 ゴジラ映画では初めて宇宙が舞台となっているのが特徴。それも前作でキング・ギドラと言う魅力ある敵役を得た事実が大きいだろう。二作続けてのギドラ襲来により、宇宙から敵がやってくる。それから地球を守のは地球を代表する怪獣だ。と言う構図を確立した作品となった。キング・ギドラは二度目の登場(多分敵役としてなら最多登場だろう)であるが、前作のような凶暴さがやや落ちているのが残念と言えば残念(やっぱギドラは操られててはいけない存在なんじゃないかな?)。そしてX星でキング・ギドラを追い払ったゴジラは喜びのあまり、飛び跳ねながら“シェー”のポーズを取る。確かにこのゴジラ、良く動くのだが、怪獣同士の戦いについては特筆すべき事はあまりない、と言うのが正直な印象。動きこそ良くなっているけど、前作の凶悪なキング・ギドラを知っている身としては。

 だけど、ここには非常に魅力的な存在がある。X星人。彼らは地球人を騙し、キング・ギドラを操って地上を征服しようとすると言う、まあある意味ステロタイプな宇宙人ではあるのだが、なんと言っても彼らの宇宙服のデザインは秀逸だし、台詞が格好良い。後年の「ウルトラセブン」に強い影響を与えたのではなかろうか?

 そしてラストで分かる。この映画の本当の主人公が誰であったかが。ゴジラには敵わないと言う前提の元、作戦を立てて目的を果たそうとするX星人。彼らこそ努力と根性をもって作戦を遂行していたのだった。そして作戦が失敗したとき、彼らは見えない未来に向けて出発した。ただ、その未来はどこにあったのか。彼らはあきらめてはいない。自分たちが失敗しても、いつか必ず目的は果たす。まさしくあの台詞はその意思に溢れた言葉だった。

 あの言葉が浮かずに素直に受け入れられたのは、高度成長期と言うあの時代ならではだったのかな?そしてよほどX星人の方が等身大のヒーローっぽいのが皮肉っぽくて良い。

 レビュー書いてるうちに、私の中の評価がどんどん上がっていることに気付いてしまった。★4にすべきか、★3にすべきか、かなり迷ったが、やはり直感を大切にしよう。

(評価:★3)

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