平成ゴジラシリーズは本作品を以て怪獣プロレスになった。それが分かっていながらも、それでもゴジラ好きな私は酷評をものともせずに劇場に行った。だってなんと言ってもキングギドラが出るのだ。決して仲間になることのない永遠のゴジラの敵役として、そしてあの極めて格好の良いキンギギドラが見られるなら、他は目を瞑ろう。とさえ思っていた。

　しかし、目が瞑れなかった。呆れ返ってしまった。

　まず、あまりのハリウッドのパクリ。ギドラの元となる小動物ドラッドは『グレムリン』の影響がモロ分かりだし（それにしても可愛くないし、動かないので、作り物にしか見えない）更に丁度当時は『ターミネーター』のパクリでチャック＝ウィルソンがロボット役で登場する。それにしても、あの描写はもの凄い。全然ロボットっぽくないし、特にあの街を疾走するシーンは最早呆れを通り越し、笑いも出なかった。

　ストーリーに関しては「平成ゴジラシリーズもの」だけで分かってしまうほどの酷さ。タイムパラドクスものは整合性が無茶苦茶難しいが、それを敢えて無視したのは確信犯か？

　ただ、ゴジラザウルスを廃棄するのに何でよりによってベーリング海なのか？ソ連近くの水域を選んだこと自体でゴジラ復活は分かりそうなもんだろうに。いや、それ以前にキングギドラの登場はあまりにもご都合主義っぽくはないか？いや、意外性はあるか？（ところであの怪獣を一目見て、「キングギドラだ！」と叫ぶシーンがあるんだが、誰があの怪獣の名前を教えたんだろうね？)

　一応この作品で誉めるべき所はある。ラゴス島でのゴジラザウルスの登場シーンは平成シリーズの中でも最も復活前のギドラが格好良い。元々三本首で吊り操作が必要なのだが、それが結構バラバラに動いていて、リアリティはなくとも良く動くもんだ。と感心は出来る。しかし、アニメーション合成によって華々しく登場する改造ギドラの姿の無惨さ…人間に使役されるギドラなんて…

　後、復活ゴジラを巨大化させたのは、製作上のやむを得ない変更点だろう。今までのサイズだと、街に較べて小さすぎるし。

　一言、言わせてもらおう。日本の特撮はあくまで日本の特撮として勝負すべき。無意味なハリウッドのパクリなど、そんな情けないゴジラは見たくもない！（ついでに言うなら、情けないキングギドラだけは絶対見たくない）