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[コメント] 偶然の旅行者(1988/米)

先に『白いドレスの女』を観てると、この作品がラブロマンスじゃなくてサスペンスに思える。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 アン・タイラーのベストセラーを映画化。『白いドレスの女』の主演二人を再起用して、今度はしっとりとした大人の恋愛ものに仕上げている。

 本作は演出とキャラはとても良い作品だと思う。中年の夫婦生活の危機と、その中で与えられる新しい人間関係。それらを通して本当の愛とは何か?ということがしっとりと描かれた作品とは言える。

 …だけど、なんだか妙に薄ら寒さを感じさせるものでもある。

 それは他でもなく、ジーナ・デイヴィス演じるリュミエルの存在感だ。

 犬の調教師として登場する彼女は、明らかに犬にかこつけてラリーへのアプローチの方に熱心になっており、自分の家のことや息子のことを語るのも、妙にすり寄りながら。その辺の演出を観てると、これはラブストーリーと言うよりもストーカーに補足された男の顛末を見せられてるかのように思えてしまって、観てる間、どうにも居心地が悪くなってしまう。

 最後のシーンは「今まで流されるばかりだった私が、本当に大切なものを手に入れるために手を伸ばす」という意味合いがあったかと思うのだが、結果としてに自分の意志で妻よりも愛人の方を選ぶことになってしまい、結局「掌の上で踊らされてるだけでは?」という思いにさせられてしまう。

 どうなんだろう?これって文芸映画というよりサイコスリラーに近い気がするんだけど、それは私の考え過ぎか?頭の中が『白いドレスの女』に引っ張られすぎてるのかも。

(評価:★3)

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