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[コメント] 見知らぬ人でなく(1955/米)

初監督と言うだけあって、クレイマー監督の気負いが空回りした印象でした。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 医学を志す男の挫折と再起を描いた作品で、ちょっと違っているけどハリウッド版の『白い巨塔』(1965)のような作品とも言えるか?これがアメリカで受けたのは、多分当時のアメリカの医療に関わる問題を直面させたのだろうと思われる。

 ただ正直な話、私にはなぜ本作がこれだけ評価されているのか実は良く分かっていない。キャラの存在感はともかく、物語に一貫性が感じられず、主人公の位置づけも中途半端にしか思えない。意思力が強いなら強いなり、弱いなら弱いなり、統合させるべきではなかっただろうか?原作は知らないのだが、かなり長い作品で、主人公の心の動きを主軸にとらえた作品なのではないか?とも考えられるのだがどうなのだろうか?いずれにせよ優柔不断な主人公描写は今一つ。患者に対する医者の良心という社会派的側面とメロドラマ的側面のバランスが今一つでちょっと苛つく。

 主人公のミッチャムも何を考えているのか観ている側からは今ひとつよく分からず、感情移入しにくい。むしろハヴィランドの執念のようなものを観るべき作品なのかも知れない。

 映像演出は凝ってるけど、これもちょっと嫌味っぽさを感じてしまう。クレイマー監督作品は大好きなんだけど、本作に関してはその魅力を感じられないままだった。

(評価:★3)

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