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[コメント] ハロー・ドーリー!(1969/米)

ひと言で言えば“とにかく濃い”。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ハリウッドは定期的に大作ミュージカルを投入する。それを契機にミュージカルブームを作ろう。と言う意図がそこには感じられるのだが、時に時流を無視したものを投入してしまい、単発で終わってしまうこともある。その筆頭と言えるのが本作。1960年代末からのニューシネマブームからコントロールを取り戻そうとしたハリウッドの抵抗と言っても良かろう。改めて今の目で本作を観ると、充分見応えのある作品なのだが、これを投入した時期を考えてしまうと、やっぱり時流には乗りきれなかった事はよく分かる。これが20年前だったら大ヒット間違いなしだったんだが。

 とにかく本作の売りは“濃さ”と言ってしまって良かろう。ストライサンドの迫力は本作でも健在…というか、その濃すぎる存在感が全開で、それが本作の顔になっていた。この迫力で歌い踊るのは一見の価値あり。そもそもストライサンドは歌手だから歌はお手の物だが、アームストロングのデュエットという豪華な布陣で楽しませてくれる。マッソーも嫌な男ははまり役だが、ここでのストライサンドの存在感には全く太刀打ち出来なかった感じ。

 逆に言えばストライサンド以外はほとんど何も見えなくなってしまうため、ストライサンドのファンでない限りは濃さに耐えられない事もあり得る。私はまさしくそれだった。

 本作は舞台劇の映画化だが、製作開始時点では舞台劇がまだ終わっておらず、舞台が終了するまで映画は公開しないという約束が交わされていた。ところが製作コストが跳ね上がってしまったため、仕方なく違約金を払って1969年末に公開されたという。

(評価:★3)

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