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[コメント] アルマゲドン(1998/米)

余計なお世話だが、テレビでこの映画を紹介した際、「ちょ〜カンド〜」とか叫んでた女性がいたが、その事実に今頃後悔してないだろうか?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 いやはやとんでもない作品を観てしまった。

 『ザ・ロック』、『パール・ハーバー』と観てきて、これ以上凄まじい作品は撮りようがないと思っていた私が馬鹿だった。まさかそれを上回る馬鹿を見せ付けるとは、やはりマイケル=ベイ監督はただ者ではない。私の中では、既にジョン=カーペンターを越え、ルチオ=フルチエド=ウッドのレベルにまで達している。

 ここまで凄いと、開いた口がふさがらないと言うか、最早突っ込み放題というか、アラの無いシーンを探す方が難しいくらい。

 その中で三つだけ挙げさせてもらいたい。(そもそも最初からストーリーが破綻してるとか、石油採掘人が宇宙に行くという致命的なのは無しにして)

 最初のニューヨーク破壊シーン。隕石が堕ちてくるシーンは迫力充分で、MTVムービー・アワードで見事受賞したシーンだが、大気圏外から落ちてきた隕石にしては、全然迫力がない。大体隕石の落下による衝撃というのは、隕石そのものではなく、そこから発するソニック・ブームにより大破壊を起こすものだが、静かに隕石が落ちてきて、落ちた場所しか破壊しないなどと言う、とても信じられないものを平気で撮ってしまう。しかも隕石の軌跡が一つ一つ全く違うというおまけ付き。尤も、まともに考えれば隕石が実際に落下するより早くニューヨークそのものが破壊されてしまっては面白い絵は撮れないと言うのは事実としても…

 二隻のシャトルの発射。シャトルの材質がチタン合金。と言われていたが、そんなもの使ったら、多分地上に帰還できない。何のために今のシャトルはセラミックベースの複合素材を用いてると思ってるんだ?しかも隣接して発射するなど、正気の沙汰とは思えない。何らかのトラブルで一機が発射できなかったとしたら、爆風にやられて二度と使い物にならないぞ。

 小惑星着陸シーン。何で小惑星にあんなに重力があるんだ?しかも作業艇のアルマジロの周辺だけはちゃんと無重力になってるというおまけ付き。それがなかったら、小惑星が未知の重金属で出来ていて、地球と同程度の重力が得られると言う強引な設定も使えただろうに…当然掘削機械も全く地上と同じように用いられている…

 これじゃいけないと思ったのか、様々な映画からのパクリシーンを導入し(『最終絶叫計画』とまではいかないけど、一体どれだけの映画がパクラれてるんだか)、非難の的を分散させたのは、いっそ清々しいほど。ここまで見事にパクると、怒りも消えてしまうのが不思議。

 何でもマイケル=ベイ監督は子供の頃から爆発に取り憑かれ、庭で爆発シーンを撮影した際、消防車が駆けつける騒ぎになったとか。多分、彼は今も尚、少年の夢を追い続けているのだろう。それだけに爆発や機械がひっくり返るシーンはこれでもか。って言うほどこだわりを持ち(それしかこだわって無いとも言える)、とにかく良く爆発する、壊れる、ひっくり返る、飛ぶ。カタルシスを得るだけだったらいくらでも得られる。とにかくそれ以外を期待してはいけない作品に仕上がっているのがなんと言っても凄い。一種の尊敬を込めて、監督をハリウッドの中野昭慶と呼ばせてもらいたい。

 この映画で唯一誉めても良いのは展開の速さ。遅延がないので、馬鹿笑いが止まらなくて良い。

 こんな監督がいるという事実に、ハリウッドの層の厚さを感じるが、逆にこんなのが大ヒットするという事実の方が恐ろしくもある。

(評価:★1)

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