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[コメント] 砂の惑星(1984/米)

この映画の感想をDUNEマニアの友人に喋った時の、その友人の顔は見物でした。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 フランク・ハーバートによる壮大なSF帝国史“DUNE”の初映像化作品。これは製作のラファエラ・デ・ラウレンティスによる夢の企画だったそうだが、それを何を考えたのか、リンチ監督に監督を依頼してしまった。お陰で“5000万ドルの巨費を投じた大失敗作”の烙印を押されることとなる(現在では「カルト作」として新しい価値が付与されてるようだが)。

 ところでこのデューンという作品にはちょっとした思い出がある。この作品、私の中学生時代のSF好きな友人から最初の「砂の惑星」を全巻借りて読んだのだが(確かイラストは石ノ森章太郎だったはず)、高校になったばかりの時にこれはちょっと難しかった。その友人とも色々と話し、かなり話自体は理解した(あの当時彼は珍しいネットワークを持っていたらしく、えらく詳しかった)。その友人が「今度これ映画になるんだ」と目を輝かして教えてくれたものだが、残念ながら私の田舎には来ることなく、結局私が本作を観たのは大学に入り、レンタルビデオでだった。それで帰郷した時その友人と再会した時に真っ先に「これ観たよ」と言った時の、彼の複雑な表情…私はすごく面白いと思ったんだけど、この作品は実は“駄目作品”の烙印を押された失敗作だったと言うことを知ったのはその後の話だった。

 いや、でも本当に面白いと思ったんだよ。確かにSFで基本的にやってはいけない言葉での説明部分が多すぎるとか、重要なポールの開眼シーンがダイジェストだけで済まされてしまったとか、この小説の最も重要な、腹に一物ある人同士の駆け引きの会話が一切抜けていたとか、SFとしては致命的な問題があるのは認める。

 だけど、それを超えた面白さってのがこの作品にはあると思うぞ。

 何よりあの妙な映像世界と、ストーリーよりもドラマを偏重した挙げ句、物語部分をばっさり切り、人間の感情まで全く描かずに作ったのは、逆にこれだけ壮大な作品を映画化するには絶対に必要な措置だと思ったし、逆に本作のお陰で原作の分からなかった部分だって分かったところもある。むしろ物語は分かりやすかったとさえ思うのだが…(単に先に小説読んでいたからかな?)

 だが当時世間は(と言うかDUNEマニアは)そうは思ってくれなかったようだ。曰く、「原作冒涜」、「名作を訳の分からない世界にしてしまった」、「理解不能の物語展開」などなど…しかし、そう言う奴らに言ってやりたい。だからリンチにまっとうな物語を期待する方がおかしいんだって。なんでマニアはそれに気付かない?

 でも、今観てもこの作品の映像のぐっちゃんぐっちゃんぶりは凄いぞ。ストーリー上ほとんど意味がない宇宙航行シーン(特殊能力者がメランジで観た夢によって超空間航行させる)を時間かけたり、ポールの最初の試練である体が溶ける幻想や、サンドウォームの生物的質感など、わざわざ生物感たっぷりに描写するためだけに割いた時間の数々…スペースオペラの服を着た極めてフェティッシュな作品として、もう少しマニア受けする作品なんだが。

(評価:★4)

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