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[コメント] ニューヨーク・ニューヨーク(1977/米)

ミネリを通して母親のガーランドが見えました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 実際1977年という時代に作られるにしては、本作は素材的に古すぎた。ニュー・シネマで有名になった『タクシードライバー』の次回作がこんな古くさい題材だったとは、逆に驚かされてしまった。更に同年に『サタデー・ナイト・フィーバー』というニューシネマをしっかり取り入れたミュージカルが投入されていたのも本作の低評価に繋がってしまったのだろう。

 スコセッシ監督はその中でも新味を出そうと色々努力しているのは認められる。古くさい素材を使っても演出はなるだけ新しくしようとしているのは分かるし、特にデ・ニーロの演技については、これまでにない微妙な演技を強いてて、それは大変見事な演技になっていた。はっきり言ってしまえば、本作は確かに受けは悪かったかも知れないけど、デ・ニーロについては大きな躍進へとつなげることが出来たので、成功作とも言える。

 では本作は何が悪かったかというと、やはりミネリの使い方だった。ミネリ自身の縁起が悪い訳ではなく、むしろ素晴らしいとも言えるのだが、ミネリの個性が強すぎて、それを御すことが出来なかったのが最大の問題。スコセッシは男優の使い方は上手いけど、女優の使い方が今ひとつという弱点が露呈してしまった(スコセッシ監督のミネリのロマンスも生んだと言う事実もあるが)。

 ミネリがまるで母親のガーランドのように見えてしまい、やってることが『スタア誕生』(1954)のようになってしまった。駄目男の面倒看る気丈な女性って構図は私は苦手だし、それを感じさせてしまった時点で私自身もはまりきることが出来ないままだった。

(評価:★3)

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