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[コメント] 左ききの拳銃(1958/米)

ペン監督がこの10年後に、レッドフォードを主役にしてこれを作っていれば、もっとすごい作品になった気がします。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ペン監督デビュー作。監督は後に『俺たちに明日はない』を撮ることになるが、デビュー作から犯罪ものを手掛けていることが分かる。演出の上でも後に有名となるスローモーションを使った演出を用いていて、その実力の片鱗が見える。

 実際の作品の出来としては、ビリーが大人すぎるのと、やや盛り上がりに欠ける物語展開のおかげで描写不足は否めず。ビリーの殺人を全部必然性に結び付けてしまったため、ありきたりな物語になってしまった感じ。50年代と言う時代を考えると、これでもかなり冒険したんだろうけど

 ニューマンが主役を張ることで、本作は見事にその存在感を印象づける事となったが、一方ではニューマンの存在感はあまりにも揺れない存在であるが故に、ビリーの若さというか、無鉄砲さがなりを潜めてしまった。折角ビリーを教育することを買って出たタントールも、大人の対応と言うよりは、対等の立場に近かったし。

 後半になると、ビリーの殺人は復讐と報復になっており、物語としてはまとまるが、無軌道っぷりを観たかった側としては少々食い足りない。

 若きニューマンの格好良さを堪能できれば良いと考えるなら、それはそれで充分な出来ではあるが、もうちょっとニューシネマっぽく仕上げてほしかった感じ。

(評価:★3)

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