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[コメント] 美女と液体人間(1958/日)

人間が変身させられた場合、怪獣になってはいけないんですよ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 東宝が作り上げた変身人間シリーズ第1作。後のテレビシリーズである『怪奇大作戦』を先取りしたような作品だが(実際『怪奇大作戦』の一エピソード「光る通り魔」はそっくりだ)、これら作品には大きな強みがある。

 一つには、ストーリーが非常にハードであること。大人向けの特撮映画として充分な出来だ。あっけなく人は死んでいくし、それを直面した人々と、社会に与えたインパクトもじっくりと描き込んでいる。

 設定においても麻薬がらみのヤクザの攻防や、キャバレーの描写など、確かに大人向きに作られてる。ヒロインの白川由美も、他の清楚な役とは全く違っていて、アダルトな魅力に溢れた役を好演。

 残酷な描写も結構あって、動物が液体化するのを説明するために蛙を溶かしてしまうのだが、これが結構描写的に気持ち悪かったりするし、窓から青緑色の液体が入り込んでくる描写はホラーっぽくてなお良し。

 描写的には非常に優れたものがある本作だが、ストーリーに関してはやや難があるかな?だって液体人間はほとんど知性がないため目的意識が感じられないし、その分、本来中心となるべき“変えられてしまった人間の哀しみ”ってのが思い切りスポイルされてしまっている。その辺の描写があったら、もっと内容も深まったと思うのだが…(シリーズが進んでいくと、そう言う描写が前面に出てきたけど)

 ラストも救いようが無い割にあっさりしすぎって感じ。

 実は液体人間こそが、人間の進化した形かも知れない。と言うラストのモノローグは結構良かったな。逆転の発想だね。

 良い部分と悪い部分が混在した作品になってしまったので、評価はちょっと低めに。

(評価:★3)

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