『ジャングル大帝』完結編！

　…と言っても、前に作られた劇場版は30年前だから、ほとんど新規に作ったと言っても良いのだが、それにしてもなんでこの素材？

　子供時代のレオを知らない世代に大人になったレオと子供達を見せて何か共感を得られるとでも思ったか？

　原作でもレオは最後は死んだ。しかし、それは長年の蓄積あってこそそれが可能な事だった。生まれた時のレオが子供時代を経て、猛々しくも心優しきジャングルの王者となり、様々なドラマを経てこそ、死を描くことが可能だったはず。

　それを突然その話だけ切り取ってどんっと前に置かれ、「どうです？感動的でしょう？」と言われても困る。原作好きな人間でさえ引くぞ（あー、いや。原作好きな人間こそ引く）。

　だいたい物語りそのものが全くまとまりが無く、子供時代のレオをコマ落としでトレースしてるようなルネと、無力な上に徐々に弱っていくレオの物語がごちゃごちゃと出される。脚本より何よりもこれを映画にしようとしたこと自体に無理がある。

　いくら絵が綺麗であっても、『ライオン・キング』(1994)に追従して作った事はばればれで、こんな粗悪品が売れると考える方がどうかしてる。